2017年04月25日

金の国 水の国 1巻完結 岩本ナオ 感想

今日は、このマンガがすごい! 2017のオンナ編第1位に輝いた金の国 水の国を読んだので、レビューしたいと思います。でもいつまでこの"オンナ"とか"オトコ"って言葉を使って分けるのでしょうか。気を付けないと余計なところからかみつかれる気がします。

あらすじ
中世アラビアと中央アジア風の隣通しのA国とB国は些細なことで戦争状態にありました。それを見かねた神様が、A国は国で一番美しい娘をB国に嫁にやり、B国は国で一番賢い若者をA国に婿にやりなさいと言いました。

しかし、A国国王は子猫のオドンチメグを嫁としてB国へ、B国族長は子犬のルクマンを婿としてA国へ送ってしまいます。

そんな中、A国の100人いる姫の中から婿の貰い手として白羽の矢が立ったのが、B国国境近くにすむサーラ姫。少しふくよかでおっとりした彼女は、怖いB国人が来るよりも子犬のルクマンが来て安心した様子。またB国は図書館長の息子で土木設計技師のナランバヤルをA国からくる姫の婿として選びました。お互い子犬の婿と子猫の嫁をもらった事になります。ナランバヤルはさらに族長に対し、戦争のせいで国策が乏しく仕事にあぶれている自分に嫁の世話をしてくれるならお祝いの酒と肉も、と要求をします。

ある日サーラが散歩のため家を出ようとすると、姉たちからB国から来た婿を見せろと迫られます。困りながらも散歩をしていると、ルクマンが駆け出し国境を越えB国まで侵入し最後は穴に落ちてしまいます。そのときちょうど通りかかったナランバヤルがルクマンを助けた縁で、サーラはナランバヤルに婿の身代わりになってくれるようお願いをします。

姫である姉たちのお茶会に出向く途中、祈祷師で右大臣のピリパッパと子供がもめている所に遭遇します。ピリパッパはA国の技術者を排除しようと、幾名も投獄し寄木細工を作らせていました。ナランバヤルは「動く道」と故障している「漕がなくても登れる川」を見かけ、ピリパッパに「漕がなくても登れる川」を修理したいので寄木細工を作っている人間を使いたいと依頼しその場を後にします。
そしてお茶会に向かう途中乗せられた王室専用の「動く箱」で上階に行き、見た街並みの美しさにナランバヤルは、ここは「金の国だ」と感嘆します。

姉たちのお茶会には俳優出身のイケメン左大臣、ムーンライトも来ていました。サーラが(偽の)夫のナランバヤルを紹介します。持ち前の口の上手さで和む場、また時計の修理を依頼されますが、その技術力で不具合の個所を説明します。その後、ナランバヤルはムーンライトと二人で食事をしますが、A国は商業大国で経済的に豊かだが水は枯渇しつつある、またB国は資源国で水資源、緑は豊かだが食事も貧しく日々暮らしていくのが大変、なので水の豊富なB国からA国に水路を引けないか、と提案します。しかしこの水路の実現にはA国とB国の和解が必須なのです。

国境を越える水路は実現するのか、夫婦のふりをしているサーラとナランバヤルの運命は。

とここまでが前半(全8話中、1-3話半)ぐらいまでのあらすじです。

感想(レビュー)
少女マンガには珍しく国家間の戦争や謀略などが背景にありますが、「神様」からA国は国で一番美しい娘をB国に嫁にやり、B国は国で一番賢い若者をA国に婿にやりなさいと言われるなど、どこかとぼけたやわらかい、おとぎ話のようなマンガでした。

けっこう面白かったです。でも、じゃぁどこが良かったの?と聞かれると少し困ってしまいます。銀の匙の面白さに似ているかもしれません(向こうは少し男の子よりのマンガですが)。一つ一つのエピソードはよくある感じなのですが、その中にサーラの優しさとナランバヤルの利発さがやわらかく表現されています。

たとえば、あらすじ以降、ひょんな事からナランバヤルの嫁(猫)の代わりとしてサーラが対応しますが、サーラはナランバヤルに奥さんがいると勘違いしてしまいます。このような(気持ちの)すれ違いは見ている方は当然もどかしく、心配になってしまいますし、作中のサーラ自身も、もやもや感たっぷりになるのが普通だと思います。しかし(なぜか)読者はそこまでもどかしくなく、純粋にサーラの心配が出来るいい意味での軽さがあり、安心して読めるところがこの本の面白さにつながっていると思いました。

また、王室専用の「動く箱」で上階に案内をしてくれたライララ(黒い頭巾をかぶっていて目しか見えない)に向かってナランバヤルがここは「金の国だ」、「キレイっすね」と語りかけますが、その前後のコマでライララがその目だけの表情を和らげるシーンが有ります。この間(ま)が何とも言えないほんわかとした気持ちにさせてくれました。このような表現の積み重ねが本書のほんわか感、やわらかい、といった評価になるのだと思います。

初出の掲載雑誌は月刊フラワーズ、高校生から30代までを対象にした少女マンガ雑誌のようですが、このお話はちょっとスレて疲れた世間を知ってしまった世代が読むほうが、久しぶりにピュアな気持ちを感じられると思われます(逆に話がキレイすぎると毒突かれる可能性もありますが)。当初前後編での構想でしたが、まったく収まりきらず、このボリュームになったそうです。通常の1.5倍ほどもある300ページ弱の単行本ですからね。

おとぎ話のような、と書きましたが、愛人は出てくる暗殺はされかける、戦争や国家の謀略が有る、など子供が読む分には注意が必要ですね。

posted by tkkn at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ | 更新情報をチェックする
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